このコーナーではお母さまの子育てに役立つ情報を、主に「病気」「食事」「生活」の分野から
ご紹介していきたいと思います。
お母さまの広場
乳幼児突然死症候群の予防のためにできること | |
2009-03-12 更新 | |
乳幼児突然死症候群(SIDS)は、それまで元気だった赤ちゃんが、事故や窒息ではなく眠っている間に突然死亡してしまう病気です。 日本での発症頻度はおよそ出生4000人に1人と推定され、生後2ヵ月から6ヵ月に多いとされています。発症は年々減少傾向にありますが、平成19年においては全国で158人の赤ちゃんがこの病気で亡くなっています。 SIDSの原因はまだはっきりとはわかっていませんが、次のような説がいわれています。すなわち私たちの体には、呼吸が止まっても、自動的に呼吸を再開するためのスイッチを入れる”覚醒反応”というシステムがありますが、SIDSでは呼吸中枢に何らかの異常が起こり、この覚醒反応のスイッチが入らず、呼吸が停止するのではないかということです。もともとこのような素因をお持ちのお子さんに、何らかの原因で無呼吸が引き起こされたときに呼吸再開が起こらず死亡に至るというものです。 また育児環境のなかにSIDSの発生率を高めるいくつかの因子があるといわれています。SIDSの素因をお持ちかどうかを確認することはできませんので、小さなお子さんをご養育のときは、予防のために次のような点に注意しましょう。 @仰向け寝;うつぶせに寝かせたときの方が、あおむけ寝の場合に比べてSIDSの発症率が高いということがわかっています。(約3倍)うつぶせ寝がSIDSを引き起こすものではありませんが、医学上の理由でうつぶせ寝をすすめられている場合以外は、赤ちゃんの顔が見えるあおむけに寝かせるようにしましょう。 A禁煙;たばこは、SIDS発生の大きな危険因子です。両親が喫煙する場合、両親が喫煙しない場合の約5倍もSIDSの発症率が高いという研究結果もあります。妊婦さんの喫煙も危険です。胎児の呼吸中枢にもよくない影響を及ぼします。妊婦や赤ちゃんのそばでの喫煙もよくありません。ご家族みんなで禁煙しましょう。 B母乳育児;母乳で育てられている赤ちゃんは、人工栄養の赤ちゃんと比較してSIDSが起こりにくいと考えられています。(約1/5)人工乳がSIDSを引き起こすものではありませんが、できるだけ母乳育児をすすめましょう。 C添い寝;覚醒反応の遅れをカバーするところから、SIDSを減ずると考えられています。お母さんは睡眠中も無意識のうちに子どもの動きを察知しかばうような行動が見られるとされ、添い寝で押しつぶして窒息させることはありません。母乳栄養のお母さんとお子さんが、固めの布団で添い寝することは推奨されます。ただし、お父さんや兄弟との添い寝、泥酔のお母さんとの添い寝は控えましょう。 D固めの布団;柔らかい布団は約5倍、枕使用は約2.5倍に危険性をアップします。沈み込むような布団や枕は危険です。 E暖めすぎない;おとなが薄着でも快適な気温がベストです。厚着を控え、赤ちゃんを触って熱く感じるようならすぐに涼しくしてあげましょう。 Fおしゃぶりの使用;アメリカ小児科学会はおしゃぶりの使用がSIDSの頻度を減じると報告しました。しかし、おしゃぶりの使用が母乳継続期間を短くするとの報告もあります。人工栄養のお子さんが入眠時に限って使用することは有用かもしれません。 G寝ている赤ちゃんをひとりにしない;常にお子さんの様子をチェックし、異常をできるだけ早く見つけましょう。お昼寝の時は、添い寝をしたり、5分〜10分おきに様子を見に行ったりしてあげてください。 SIDSはまだ原因不明な病気。SIDSの危険性を少しでも低くして、かわいい子供の成長を見守りたいものです。 |
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