このコーナーではお母さまの子育てに役立つ情報を、主に「病気」「食事」「生活」の分野から
ご紹介していきたいと思います。
お母さまの広場
困難な時代の子育て 〜〜サイトへの質問から〜〜 | |
2012-02-18 更新 | |
先日、サイトに次のようなご質問をいただきました。 「4歳のこどもがおります。このところ地震、津波、大雪と、さまざまな災害が続き、大人でも不安な毎日です。こんな時代に子育てをしていると、いつも不安です。いつなんどき、親が先に死んでしまうかもしれません。突然やってくるこれらの事態をこどもが無事に乗り越えていけるようにするためには、どのように育てていけばよいでしょうか?」 正直言って、このように深いご質問をいただくとは、予想していませんでした。 小児科学、育児学という分野を超え、ほとんど哲学的領域のご質問ですね。 しかしこのような時代に生きて、多くのお母さま方が、多くの不安を抱えてお過ごしと思いますので、私の考えうる範囲でお答えしたいと思います。 大震災のような大きな天災はもちろんですが、人生は大小数えきれない困難の連続だと思います。 カゼのような日常的な病気をはじめとして、いわゆる持病、たとえば喘息、アトピー、てんかん、などなど比較的継続的に治療しなければならない病気、あるいは生まれつきの異常など、小児科関係のものだけでも、数えきれません。 また、離婚やご家族との死別など、お子さんの心の発育に大きく影響するトラブルを抱えておられるご家族もおられるかとおもいます。 このように考えただけでも、人生には自分の努力ではどうにもならないことのほうが、どんなにか多いかがわかります。 人生は困難9割、幸福1割。 たま〜〜に出会う幸せの石を探す長い旅路のようなものだと思います。 できることなら、お子さんが、これからの人生で困難にであったとき、乗り越えていける力を、日頃からつけてあげておきたいものです。 そのための力は大きく次の2つであると思います。 @その事態が、変更可能なものか、変更不能なものかを見極める力 Aすべての困難をプラスに変える力 まず@についてです。 困難には、努力によって何とか変更可能なものと、いくら努力しても変更不能なものがあります。 前者を乗り越えるためには、努力をいとわない強い意志を養っておくことが大切です。 日々の暮らしで小さな課題を少しずつ乗り越えさせ、がんばる楽しみをちょっとずつつけさせてあげましょう。 後者は、たとえば先天的な異常や、容姿について、また地震、津波などの天災など努力によっていかんともしがたい場合です。 このような場合、とても難しいことですが、まず現実を受容することからすべては始まります。 「もっと背が高かったら・・・」「地震さえこなければ・・・」といくら言い続けても、事態は何も変わりません。 まずあるがままを受け入れ、そこをスタート地点として、そこから少しでも前向きに一歩踏み出す勇気を自分に奮い立たせる力、これこそが「生きる力」です。 他と比較するのではなく、昨日の自分より少しでも進歩していたら、心の中で自分をめいっぱいほめてあげること、そのような訓練を、小さいうちからぜひさせてあげましょう。 また大前提として、この2つのいずれなのかを冷静に区別する力が1番大切なのですが、これはほんとうに難しい! 親子でつまずきながら少しずつ学び取ってゆくしかありません。 次にAについてです。 たとえば、お母さんが病気で入院したとします。 お母さんの病気入院は、それはもちろん困ったできごとに違いありません。 「困った、寂しい」と愚痴ってばかりでは、何も事態は好転しません。 しかし、お母さんのありがたさを再認識してお母さんへ感謝の気持ちを素直に伝えたり、お母さんの仕事を他の家族で分担したりしてこなすことで、いっそうの家族の絆を強固なものにできますし、お子さんの自立を促す絶好の機会にもなります。 阪神大震災、東日本大震災を通じて、日本国民が人々の絆の大切さに気づいたことはいうまでもありません。 人生におけるマイナスをプラスに変える力は、どんな事態に立たされても、前向きな一歩を踏み出すための大切な力、お子さんの日々の暮らしで、まずは小さなことから実践するアドバイスをしてみましょう。 1分先は、誰にもわかりません。 不安な気持ちは大人も子どもも同じです。 しかし、すべてのできごとを、意味のあるものとして捉え直せるかどうかが、人生に希望を持って生きてゆけるかどうかの分かれ道になるのだと思います。 最後に絵本作家 葉祥明さんの著書の一節を引用します。 「痛みも 苦しみも つまずきも 悲しみも 全て必要なこと。 傷つくこと 失うこと 敗れること 奪われること それらを通して 私たちは学び 成長することができる」 お子さんといっしょに、学び合い育ち合ってゆきましょう。 |
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