このコーナーではお母さまの子育てに役立つ情報を、主に「病気」「食事」「生活」の分野から
ご紹介していきたいと思います。
お母さまの広場
お子さまの身の回りで発生する「まさか」の事例 | |
2011-10-08 更新 | |
日本小児科学会では、お子さまの事故予防のために、実際に起きた事例から注意喚起情報を出しています。 今回はその報告の中から、特にご注意いただきたいケースを取り上げてみました。 <日本小児科学会からの報告事例@>スリング使用中に死亡した2ヶ月27日女児 顔を含めて全身を包み込むようにスリングを使用して外出。 静かになり動かなくなったので、母は眠ったと考えた。 その10分後に帰宅して子どもを下ろしたところ、呼吸が停止していた。 救急車で搬送、医療機関にて救急処置を尽くしたが死亡した。 スリングは最近広く普及しています。 おんぶより幼い月齢から使うことができ、赤ちゃんのお顔が見えるので、とても安心な面もあるのですが、以前からスリングからの転落や股関節脱臼の危険性が指摘されていました。 死亡例はこのお子さんが初めてとのことです。 またアメリカでは、過去20年間に14例の死亡が報告されており、その12例は4ヶ月未満でした。 その原因として、スリング内で首が曲がった状態になることで気道閉塞を起こすこと、胸とおなかの部分が曲がった状態になることで呼吸の際に胸が広がりにくくなること、狭いスリング内で熱がこもって体温が上昇すること、などが考えられています。 未熟児、低出生体重児、双子などで、より危険性が高いとされています。 スリングを使う時は、常に赤ちゃんのお顔がしっかり見える使い方をすること、あまり長時間にならないようにすることなど、充分に注意してください。 <日本小児科学会からの報告事例A>スーパーボールにより窒息死した3歳9ヶ月男児 直径3.5pのスーパーボールを2個口に入れて遊んでいた。 たまたま気づいた母親が「危ないから出しなさい」と言ったところ、驚いて、そのうち1つを吸い込んでしまい、窒息状態になった。 母親が取り出そうとしたが取り出せず、救急車にて搬送された。 救急センターで、専用の器具でスーパーボールを取り出し、救急処置を尽くしたが、窒息による低酸素状態のため脳が大きな障害を受けており、意識回復せず、人工呼吸にて維持していたが、6ヶ月後に死亡した。 3歳児がめいっぱいお口を開けると直径3.9pなので、このボールは容易に口に入ります。 2つ同時に口に入ると、奥のほうのボールは喉にめり込みやすく、いったん入るとなかなか取り出せません。 また、脳はわずかでも酸素の行かない状態があると、回復不能の大きなダメージが生じます。 そのため蘇生処置で心拍呼吸が再開できても、意識は戻りません。 誤嚥による窒息の危険は日常の至る所で見られます。 あめ玉、枝豆、ピーナツなどの食べ物も危険です。 小さなお子さまでは、あめ玉、キャラメルなど、お口の中でなめとかすお菓子は危険です。 驚いたり、急に咳が出たり、ちょっとしたはずみで、気管に入ってしまいます。 枝豆をお子さまの口の中にはじいて入れることもとても危険です。 <日本小児科学会からの報告事例B>しつけ箸による顎の外傷 4歳5ヶ月男児 リングに指を入れて保持するしつけ箸を持って回転する椅子に乗って遊んでいたところ、椅子が転倒した。 しつけ箸は指から離れず、転倒した拍子に箸2本が顎に刺さった。救急病院にて処置を受け治癒した。 尖ったものが刺さる事故として記憶に新しいのは、割り箸が口の中から上方の脳に刺さって死亡した事例です。 このお子さんは幸い命に別条はなかったのですが、脳に刺さったり目に刺さったり、取り返しのつかない事故が起きる可能性があります。 またよちよち歩きのお子さんは転びやすいので特に危険です。 鉛筆、はさみなどの文具など、日用品でも、先の尖ったものを使わせる時は、きちんとすわった状態で落ち着いて作業させ、よく監督してあげましょう。 食事中に箸を持って歩き回ることは、お行儀という以前に、とても危険です。 きちんとすわって食べさせましょう。 命に関わる大きな事故は、ごく身近で、たった1分のすきに起こってしまいます。 大切なお子さまの命を健やかに育むために、安全対策を徹底しましょう。 |
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