このコーナーではお母さまの子育てに役立つ情報を、主に「病気」「食事」「生活」の分野から
ご紹介していきたいと思います。
お母さまの広場
ゲーム・ネット中毒を考える | |
2013-06-16 更新 | |
ゲーム・ネット中毒という言葉を耳にされたことがあると思います。精神医学の分野では、「インターネット嗜癖」といい、衝動制御の障害のひとつで、次のように定義されています。 「インターネットに過度に没入してしまうあまりコンピューターや携帯が使用できないと何らかの情緒的いらだちを感じる。また実生活における人間関係を煩わ しく感じたり、通常の対人関係や日常生活の状態に弊害が生じているにもかかわらず、インターネットに精神的に嗜癖してしまう状態」 つまり、ゲームにどっぷり浸かりすぎて、離れる/離れさせられるといらつき、キレやすく、生の人間関係がおっくうになっているということです。そういう状態になりつつあるお子さんは、けっこう多いのではないでしょうか? 下のサイトにアクセスすると、インターネット中毒度テストができます。まずは、お子さんの状態を、試しにテストしてみましょう。 (大人版なので、こどもの生活に置き換えてあてはめてみて下さい) http://sgkit.ge.kanazawa-u.ac.jp/~kitaura/tairyoku/inter-test.html いかがでしたか? ところで、このゲーム中毒は、ドーパミンという神経伝達物質が過剰に分泌されることで生じると言われています。ドーパミンは「あの快感・快楽を、もう一度味わいたい。」という心理状態と結びつくと言われています。これが高じると依存症になるわけです。 反対に、この心の高ぶりを、落ち着かせるのがセロトニンという物質。ドーパミンに歯止めをかける神経伝達物質です。いわばドーパミンは車で言えばアクセル、セロトニンはブレーキであり、「もう、これで満足。」と、心を落ち着かせてくれるのです。 セロトニンをよく分泌させるためには、朝日をしっかり浴びてスタートする規則的な生活リズムが大切です。しかしゲーム浸りの生活では、夜更かしの朝寝坊 になりがちで、ドーパミン過剰/セロトニン不足の悪循環に陥っていくことになります。もうひとつセロトニン分泌に効果的なものに歩行などのリズム運動があ るのですが、ゲーム三昧の生活ですと、いきおい運動不足になり、これもセロトニンを分泌しにくくしてしまいます。 このように悪循環サイクルにはまってきますと、キレやすいこどもに親御さんもほとほと疲れ果て、親子関係も殺伐としてくることが予想されます。しかしこ の親子関係の改善が、実はゲーム依存から脱出する最良のお薬なのです。ゲームクリエーターのかたは「ゲームの最大の敵は保護者の愛」とも言っているそうで す。 依存状態のお子さんたちは、それなりに罪悪感を感じており、自分ではどうにもできない「アリ地獄」でもがいています。そのような状態のお子さんに「止め ろ!」といっても反発を招くだけ。まずはお子さんへの接し方を親御さんから変えてゆきましょう。「止めろ!」と声を張り上げるかわりに、時間を作って真正 面からお子さんの相手をしてあげて下さい。大人の変化を、こどもは敏感に察知し、しだいに心を開いてくれます。小学生であれば肌が触れ合う遊び、自然の中 での外遊び、からだをしっかり動かす遊びをいっしょにやってあげましょう。抱っこしての滑り台、お相撲などなど、とにかくスキンシップたっぷりのあそびの 楽しさを実感させてください。 たしかに手間ひまはかかります。ゲームをあずけておけば、お子さんは静かにしていてくれるので、親御さんは楽だと思いますが、その1分1分がお子さんの脳をじわじわと蝕んでいるという恐ろしい事実を、ぜひ深刻に受けとめて頂きたいと思います。 |
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