このコーナーではお母さまの子育てに役立つ情報を、主に「病気」「食事」「生活」の分野から
ご紹介していきたいと思います。
お母さまの広場
インフルエンザ脳炎脳症について | |
2012-02-04 更新 | |
江南区にも少しずつインフルエンザの流行が始まっています。 今のところ、A、Bとも少しずつ見られます。 今年のAは香港A型がメインとのことです。 このウイルスが流行した年は以前から脳炎脳症の発生が多いとされており、小さいお子さまのいるご家庭では注意が必要です。 今回は、インフルエンザ脳炎/脳症について、少しご説明します。 @どんな人に多いの? インフルエンザ脳炎/脳症は、主に5歳以下で、初めてインフルエンザにかかった人に多いとされていますが、もちろん中学生、高校生でもあり得ます。 Aいつ起こりやすいの? インフルエンザに罹ったその日から1〜2日くらいで発症します。 約80%が発熱後、数時間から1日以内に症状が出現します。 発症はきわめて急激です。 Bどんな症状なの? けいれん、意識障害、異常行動です。 <けいれん>15分以上続く、持続は短くても何回も繰り返す、左右非対称である、などの場合は注意が必要です。 <意識障害>起きているのか、寝ているのかわからないような状態。呼んでも返事をしない。少しくらいの痛みには反応しないなどの場合は注意が必要です。 <異常行動> ・両親がわからない。いない人がいるという。 ・自分の手を噛むなど、食べ物と食べ物でないものとを区別できない ・アニメのキャラクター・象・ライオンなどが見えるなど、幻視・幻覚的訴えをする ・意味不明な言葉を発する。ろれつがまわらない。 ・おびえ、恐怖、恐怖感の訴え・表情 ・急に怒り出す、泣き出す、大声で歌い出す これらの症状がごく短時間のみ見られた場合は、「熱せんもう」と考えられますが、ある程度持続する場合は脳炎脳症の初期の可能性があります。 Cなぜ起きるの? 脳にインフルエンザウィルスが入り込むものと、サイトカインと呼ばれる免疫物質が関係する2つがあります。 インフルエンザウイルスは、体に対する影響がきわめて強いウイルスです。 このウイルスから体を守るために、免疫反応が一斉に始まります。 体内に侵入した病原体を排除する物質を「サイトカイン」といいます。 インフルエンザにかかることで、体内にきわめて激しい免疫反応が生じ、大量のサイトカインが放出され、その反応が激しすぎてサイトカインの働きがメチャクチャになった状態が生じます。(高サイトカイン血症) 脳内は高サイトカイン脳症という状態になり、その結果免疫が正常に機能せず、けいれん、意識障害、異常行動などが見られるようになります。 さらに多くの細胞が障害を受け、全身状態が悪化すると、呼吸が止まったり、血管が詰まったりし、多くの臓器の障害(多臓器不全)へと進み、命に関わる重症となります。 D予防はできるの? 予防接種をしておくことと、早期診断。診断がついたら早めにインフルエンザの内服や吸入をすることです。 脳炎脳症の発症はインフルエンザ発熱から数時間で起きることもあり、残念ながらインフルエンザ薬の効き目出現より早く発症してしまうことも多いです。 ワクチンによる抗体の上昇は個人差があり、「ワクチン接種済み=脳炎はおきない」とは言い切れませんが、毎年接種を続ければ、だんだん免疫も高まりやすくなるので、やはり、乳幼児期からでも積極的に接種した方がよいと思います。 たとえ今年度十分効果が見られなくても、毎年接種を続ければ年ごとに以降免疫が高まってきます。 E解熱剤に注意を! 強力な解熱剤の使用は、脳炎脳症の発生率をきわめて上昇させます。 小児に認められているものは、アセトアミノフェンとイブプロフェンだけです。 とくにアセトアミノフェンがお勧めです。処方名;アンヒバ座薬、アルピニー座薬、カロナール内服、コカール内服 ボルタレン、ポンタール、アスピリンは絶対に止めましょう。 アスピリンは「ライ症候群」という重篤な病気を発症することもあります。 発熱は、体が病原体と戦おうとする免疫の表れです。 食事、睡眠もとれ、ご機嫌がまずまずなら、お熱があるからといって、解熱剤を使う必要はありません。 解熱剤は「お熱によるつらさをとる薬」と割り切って、タイミングよく最小限使いましょう。 また、熱性痙攣のあるお子さんでは、忘れずに痙攣予防座薬(ダイアップ)を入れましょう。 向こう2ヶ月くらいは、インフル流行が続きます。 手洗い、うがい、十分な栄養と睡眠でがんばりましょう。 |
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