このコーナーではお母さまの子育てに役立つ情報を、主に「病気」「食事」「生活」の分野から
ご紹介していきたいと思います。
お母さまの広場
食物アレルギーの「きほんのきほん」 | |
2013-02-23 更新 | |
今日は食物アレルギーについての基本的な考え方をお伝えしたいと思います。 食物アレルギーとは、卵や牛乳などある特定の食べ物を食べたときに、からだの免疫のしくみが過剰に反応してしまい、発疹や下痢、嘔吐などの症状が出てしまうものです。 ふつう食べ物は胃腸を通過するあいだに、分泌された消化酵素のはたらきで小さな分子に分解されます。 また胃腸の粘膜にはアレルギーをブロックするバリアがあります。 そもそも食物は人間にとっては異物、たとえば鶏卵は人とは全く違うタンパク質でできていますから、そのまま血液に入れば、即座に誰でも命にかかわるほどの激しいアレルギー反応が起きてしまいます。 しかし生物はそれを栄養として食べ、胃腸はそれをアミノ酸など小さな分子までしっかり消化し、さらに腸の粘膜で、安全に取り込めるものかをチェックするふるいにかけて、安全なもののみを吸収するわけです。 しかし小さなお子さんでは、これらの仕組みがまだまだ未熟で、大きな分子のまま腸の粘膜に達し、未熟な粘膜バリアーをすりぬけて大きな分子が血液に入ってしまい、血液中のアレルギーの抗体と反応して症状が出てしまうわけです。 わかりやすいたとえをしてみます。 たとえば卵白にアレルギーがあるお子さんが卵白を食べたときについて考えてみましょう。 卵白には、その分子に「これが卵白です〜〜」とわかる目印の旗が立っているとイメージして下さい。 採血で調べることのできるIgE抗体は、この「卵白旗」が血液中に入ってくるとこれを見つけて反応し、その結果アレルギーの症状を引き起こします。 消化がおとなのように完全であれば、消化の過程でこの「卵白旗」も粉々になり、たとえ血液中に卵白IgEがあっても決して反応はおきません。 しかし幼いお子さんでは消化が未熟なため、消化の過程によっても「卵白旗」が細かくされずに残ってしまい、さらに粘膜バリアーが未熟なため、旗が立っている大きな分子のまま、粘膜をスルーしてしまいます。 その結果血中の卵白IgEと反応してしまい、症状が出てしまうわけです。 以上のような理由で、幼いお子さんでは大人より圧倒的に食物アレルギーの頻度が高くなります。 また成長に伴う消化の仕組みや粘膜バリアーの成熟によって、多くのお子さんでは年齢とともに食物アレルギーを卒業できるわけです。 「検査が陽性ということと、食物アレルギーの症状が出るということは、必ずしも一致しない」ということも、よくおわかりいただけたと思います。 次回は離乳食のステップアップの際の注意点についてお伝えします。 |
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