このコーナーではお母さまの子育てに役立つ情報を、主に「病気」「食事」「生活」の分野から
ご紹介していきたいと思います。
お母さまの広場
メディア視聴と子どもの心の発達 | |
2013-03-23 更新 | |
今回は、小さなお子さまのテレビ、ビデオ、ゲームとの接触が、こころと体の発達へ及ぼす影響について、お伝えします。 乳幼児期は、こどもの脳や体がめざましく発達する時期。 この発達は、ママと赤ちゃんがしっかり「愛着」を形成して、さかんにおたがいにやりとりをすること、またこども自身が自ら行動することなどで、おおいに促進されます。 愛着形成とは、赤ちゃんが特定の人(多くはママ)に対して「この人は自分の欲求や感情や意思を理解してくれる、この人といれば安心だ」という認識をもって、その人を大好きになること、いわば赤ちゃんの「心のよりどころ作り」です。 これがしっかりできることで、赤ちゃんは安心して行動半径を拡げ、発達にあわせたいろいろな探索行動を始めることができるのです。 この愛着は自然とできあがるわけではありません。 赤ちゃんとママが目を見合わせ、微笑み合い、ママの「あやし」に元気に「おはしゃぎ」で応えるという繰り返しにより、しだいに赤ちゃんの心に形成されてゆくのです。 また、赤ちゃんが自ら手足を動かし、おもちゃをあやつろうとして、成功失敗を繰り返すことは、赤ちゃんの脳の発達におおいに望ましい刺激を与えます。 これらの積み重ねから、赤ちゃんは運動機能、知能、言語、社会性を急激に発達させてゆきます。 その大切な時期に、赤ちゃんの生活時間の大半をテレビ、ビデオの視聴に費やすことのデメリットは明らかです。 その時期にできたであろう活発な体験や学びが極端に不足するわけですから、取り返しのつかない損失が生じてしまいます。 実際に行われた大規模な調査で次のような結果が得られています。 1歳6ヶ月健診で、「2つ以上の意味のある単語を話す」ことができないお子さんの割合を調べると、テレビ/ビデオ視聴2時間未満では、2.1%、2〜4時間で4.5%、4時間以上で9.4%と、視聴時間が長いほど、言語の発達に遅れが見られるという結果でした。 言語発達以外でも、多くの調査で社会性の発達において、視聴時間の長さとの関連が指摘されています。 2011年、アメリカの小児科学会は多くの研究成果をふまえ、次のように結論づけました。 すなわち、映像メディアの利用は、2歳未満の乳幼児の発達にとって、悪影響を及ぼす可能性はあっても、良い影響を及ぼすことはないというものです。 家事をしている間の子守りや、じっとさせておくための道具に、ついついテレビ/ビデオを使ってしまいがちですが、たとえ教育ビデオと銘打ったものであっても、それは害であって良いことはないと断言しているわけです。 またNHKなどの調査で、昼間に乳幼児の養育を担うかたの視聴時間が長いと、その子どもの視聴時間が長くなるという結果がでています。 この結果は当然と言えば当然ですが、こどもに規制するまえに、大人自身のメディア視聴のご自分なりのルールを作っておくことの大切さが浮き彫りになっています。 現代のとても重要な情報ツールでもあるこれらのメディアと、おとなもこどもも、じょうずに付き合ってゆきたいものです。 <こどものいる家庭でのメディア接触の注意点まとめ> @こども、とくに2歳未満のこどもにとっては、テレビ、ビデオ、ゲームは害のみであって、良いことはひとつもない。 A子どものこころの発達は、まず目を合わせ、微笑み合うことから始まる。そして絵本の読み聴かせとなまの体験が大切。 Bいくら教育ビデオを見せても、言語は決して発達しない。 C2歳以上でテレビを見せる場合も、親と子どもがいっしょに視聴し、それについて話し合うこと。 D寝室にはテレビを置かない。もちろん子ども部屋も。 EテレビのBGM的使い方はストップ。目的を持って番組を選び、それが終わったら必ず消す。そのためにテレビに布などをかけておくことも1つのアイディア。テレビのスイッチを切るときに「テレビさん、おやすみなさい。」のように、子どもを納得させる。 F食事中、授乳中は、テレビを消す。授乳しながらママがテレビ視聴や携帯操作をすることは厳禁。授乳中はお子さんとのアイコンタクト(見つめ合うこと)の絶好の機会。 できるところから実行してみて下さいね。 |
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