このコーナーではお母さまの子育てに役立つ情報を、主に「病気」「食事」「生活」の分野から
ご紹介していきたいと思います。
お母さまの広場
子どもと日焼け | |
2013-05-18 更新 | |
夏の青空に麦わら帽子、元気な子どもは小麦色のお肌、そんな夏の風景が、かつての日本にはありました。私が小学生の頃には、担任の先生が夏休み明けに「日焼けコンテスト」を実施され、元気に外遊びして真っ黒になった子どもが表彰されていたのを思い出します。 時は流れ、日焼けについての医学的見解も大きく様変わりしました。現在はオゾン層の破壊により、確実に有害紫外線が増加しています。まずは日光を浴びることの功罪を見てみましょう。 〜日光の良い点/悪い点〜 <よいこと> @ビタミンD生成…骨の発育に必要なビタミンDは紫外線に当たることで体内で生成されますが、窓ごしの日光を手足に1日あたり10分程度当てるだけで必要量が生成できます。日本ではしらす、いわし、サケ、きくらげ、干しシイタケなど、食物からも十分摂取されています。 A体内時計調節…朝の明るい光によって体内時計がリセットされます。毎朝起きたらカーテンを開けてさわやかに朝日を浴びさせましょう。 <わるいこと> @日焼け…急に強い紫外線を浴びたとき、皮膚はやけどと同じ状態になります。 ひどいと赤く腫れ、痛みを伴い、水膨れになることもあります。日焼けをしたらまず、冷たいタオルで冷やしましょう。ひどいときは受診してください。ステロイド外用剤など、炎症を抑える薬が必要な場合もあります。 A日光アレルギー…ほんの数分、日に当たっただけでも、赤くなり痒みやぽつぽつが出現することがあります。春先のまだ焼けていないお肌は特にデリケート。外出した後に、顔、腕など日に当たるところだけに症状があるときは、日光アレルギーの可能性があります。 B光老化(シミ,そばかす,しわ)… 紫外線によりメラノサイトがメラニンを増産し、シミ、そばかすが生じます。また、皮膚の深い所の弾性線維が傷害されシワができます。幼少時は修復機能が優れているのでみられませんが、少しずつダメージが蓄積され、大人になって年齢を重ねてくると修復機能の停滞とともに一気に現れることもあります。 C皮膚がん… 紫外線(UVB)は細胞の遺伝子にキズをつけ、ガン細胞を生じることもあります。加齢とともにそれを排除する機構が抑制され、皮膚がんが生じます。日本人は白人と比べ紫外線による発癌は少ないのですが、近年紫外線量が増加していることを考えると今後増えてくる可能性もあります。 〜おうちでの対策〜 本来私たち日本人のような有色人種は、メラニンが傘のように表皮細胞のDNAを保護しているため、紫外線の影響を白人ほどは受けません。また日本人の中にも、日焼けの仕方の個性として、黒くなるタイプのかたと、赤くなるタイプの方があります。赤くなるタイプの方は、黒くなるタイプの方より、紫外線の影響を受けやすいので、よりきめ細かな注意が必要です。 上に述べたように、たしかにある程度の日光は体にとって必要ですが、それはごくわずかな時間で充分であり、積極的に真っ黒くなるまで日焼けするメリットは全くありません。人は生涯浴びる全紫外線量の約半分を18歳までに浴びてしまうとされ、特に幼少時期に浴びた紫外線は、大人になってから浴びたものよりも、皮膚がんの危険因子や、シミ、しわなどの光老化の原因になることが明らかになっています。 紫外線量のピークは6月中旬の夏至の日、それからの隔たりが同じであれば、紫外線量も同じです。つまり、5月と7月、4月と8月は同じ量の紫外線です。曇りの日も同様に降り注ぎます。お子さんを紫外線からしっかり守ってあげましょう。 次のような対策はいかがでしょう。 @帽子、パーカーなど、遮るものを上手く使う 1歳くらいまでの、まだ動き回らない年頃なら、遮るものを上手に使いましょう。薄手の長袖、長ズボンなども用意しておくと良いですね。 A日焼け止め 日常生活ではSPF10程度で十分です。ただし、汗で落ちてしまうので2時間ごとに塗り直して下さい。海や山などではSPF20~30ぐらいを使った方がよいでしょう。子どもや敏感肌の人には成分が紫外線吸収剤ではなく、紫外線散乱剤のものを選びましょう。本格的に使用する前に、目立たない部分で狭い面積を試し塗りして、かぶれないか確認を。 B10〜14時は外遊びを控える 日射しが強い時間帯は控えましょう。またアスファルトやコンクリートでは反射紫外線の影響も大きくなるので、土や草の上で遊ばせましょう。曇っていても同様です。 C春先から少しずつ軽い日焼けを作る 日焼けして黒くなるタイプのお子さんでは、4月頃から少しずつ外遊びで軽く日焼けをさせてメラニンバリアーをある程度作っておくのも良いですね。メラニンが適度に増えて、過度の紫外線が皮膚内部に届かなくなるので、天然の日焼け止めのような働きをしてくれます。ただし日焼けで赤くなるタイプの方は、この方法はできません。 たかが日焼け、されど日焼け、小さい頃のお肌対策が、将来の皮膚がん、シミなどの予防になるとすれば、日焼け対策はとても大切ですね。さわやかに朝日を浴びさせたら、あとはなるべくUV対策、というところでしょうか。賢くブロックして元気に遊ばせてあげましょう。 |
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