このコーナーではお母さまの子育てに役立つ情報を、主に「病気」「食事」「生活」の分野から
ご紹介していきたいと思います。
お母さまの広場
身の回りは危険がいっぱい 〜実際にあったお子さんの事故報告から〜 (日本小児科学会まとめより引用) | |
2012-10-20 更新 | |
何気ない日常生活の中にも、お子さんの命にかかわる重大な事故の危険がひそんでいます。 今回は、実際に報告されたお子さまの事故の事例から、注意点を掘り下げます。 @スリング内での心肺停止 もうすぐ3ヶ月の健康な乳児を母親がスリングで抱いていた。 スリング内で乳児が眠ったのを母が確認。 そのおよそ30分後にぐったりして呼吸をしていないことに気づいた。 救急隊要請、蘇生措置をしながら病院に到着。 手を尽くすも死亡した。 <考察> スリングは育児用品として普及率の高い商品です。 これまで、股関節脱臼やスリングからの転落の危険が指摘されてきましたが、アメリカでは2年ほど前から赤ちゃんの窒息による死亡の危険性が指摘されてきています。 とくに4ヶ月未満の幼い月齢では、その頻度が高くなっています。 狭いスリング内での頚の前屈姿勢による気道閉塞、体の前屈で胸が圧迫されて呼吸が妨げられるなどの原因が考えられています。 幼い月齢でのスリングの使用には充分注意が必要です。 Aしつけ箸による顎を刺すけが 4歳児が、しつけ箸(幼児に箸の持ち方を教える指保持リングのついた箸)を持って、回転するイスに乗り、イスを回転させて遊んでいたところ、バランスを失ってイスが転倒。 下あご中央にしつけ箸の先端2本が刺さり大量に出血。 救急病院で傷処置、縫合を行った。 <考察> しつけ箸はしっかりと指に固定されているため、転倒時も指から離れず、刺さってしまったものと思われます。幸いこのお子さんは命に別条がなかったのですが、一歩間違えば、眼球に刺さって失明、上あごから脳に貫通して死亡など、恐ろしい事態も考えられます。 少し前のことですが、縁日の割り箸が転倒したときに上あごから脳に刺さって翌朝に亡くなったという、確か首都圏での事例が思い起こされます。 お子さんは歩行が不安定だったり、はめをはずしてふざけたり、けんかになったりと、予想外の行動に出ることがあります。 箸以外にも、鉛筆やボールペン、歯ブラシなど、先の尖ったものは、とても危険です。 これらを手に持っている時は、きちんと座らせるか、立ち止まらせて使用するよう、日々の生活で注意したいものです。 Bスーパーボールで窒息して死亡 1歳8ヶ月児、家人が目を離したすきに、直径3.5pのプラスチックのボールを飲み込んだ。 ボールはのどに詰まり、母が取り出そうとしたが取り出せず、救急隊要請。 救急搬送され、摘出、人工呼吸器にて治療するも、5日後に死亡。 <考察> スーパーボールのように、表面がスムーズである程度の弾力を持ったものは、いったんはまり込むと取り出すことがきわめて困難となります。 またたとえば3歳児では、直径3.9pまでのものは、飲み込める大きさといわれています。 子どもの口にはけっこう大きいものも入りうるので、注意が必要です。 子どもは食べ物だから口にするのではなく、手に取ったものは何でも口に入れてしまいます。 タバコ、くすり、ボタン電池、画鋲、小さなおもちゃの部品など、身の回りには誤飲の危険性のあるものがたくさんあります。 わずかなすきに命にかかわる事故が発生します。 気をつけましょう。 Cマニキュア除光液による中毒 2ヶ月児、母が1mほど離れた所で、除光液を使って母自身のマニキュアを落としていた。 部屋は閉め切られていて、作業は15分ほど続いた。 まもなく児がぐったりして、寝てばかりいるようになった。 嘔吐頻回に見られ哺乳力が極端に低下。 医療機関に受診、除光液のアセトンによる中毒と診断され、ただちに入院治療。 回復して退院した。 <考察> 最近のネイルアートの流行で、自宅でも除光液を使用する頻度や時間がふえています。 除光液にはアセトンという物質が含まれており、吸い込むことで中毒症状、意識障害をきたすおそれがあります。 小さなお子さんのいる部屋では、できるだけ除光液は使用しないようにし、やむを得ず使用する場合は、充分な換気を行うようにして下さい。 身の回りには思いがけない危険がいっぱい。 まさかの事故からお子さんを守りましょう! |
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