このコーナーではお母さまの子育てに役立つ情報を、主に「病気」「食事」「生活」の分野から
ご紹介していきたいと思います。
お母さまの広場
食物アレルギーに配慮した離乳食の進め方 | |
2014-10-26 更新 | |
人間の体には、外からの異物を取り除こうとする免疫機能が備わっていますが、その反応が強く出過ぎるのがアレルギーです。 生き物は食物を食べて消化吸収して生きていますが、そもそもすべての食物は「異物」であり、特にタンパク質はアレルゲンになりやすい傾向があり、充分に消化されていない大きな分子のものほどその傾向が強くなります。 赤ちゃんはまだ消化機能が未熟なため消化が不十分で、大きな分子のまま腸に達して取り込まれやすく、「異物」として体が反応しやすく、また栄養を吸収する腸の網目が大人より大きいため、未消化な大きな分子のものも吸収してしまうため、食物アレルギーを起こしやすいのです。 今回はそんな赤ちゃんのからだに配慮した離乳食の進め方について考えます。 @離乳食のスタート時期 満5ヶ月に達してから6ヶ月が終了するまでの2ヶ月の間で、体調のいい時にスタートしましょう。 早すぎると消化力が未熟でアレルギーを起こしやすくなります。 離乳食の前に「離乳準備」として果汁などを与える必要はありません。 それまでは自信を持っておっぱい/ミルクだけで行きましょう。 遅すぎもいけません。 栄養面で問題になるだけでなく、極端な遅めスタートはアレルギーを増加させることがわかっています。 そもそも生き物は「異物」である食物を摂取しなければなりませんので、食物を摂取しても生き物に不利益な症状を起こさない、つまり、アレルギー反応が起こらない仕組みが腸には本来備わっているのです。 口から摂取し消化吸収された食物に対しては過剰な免疫応答を起こさないようにしているこのシス テムを経口免疫寛容と言います。 このありがたいシステムは、あまり月齢が進みますと働きにくくなるため、かえって食物アレルギーが起きやすくなります。 ですから、特別な場合を除いては、満6ヶ月が終わるまでにはスタートするようにしたほうが安全なのです。 Aお初挑戦はこんなことに気をつけて *カゼ気味、下痢気味などは控え、体調の良いときに。 *初めての食品は、何か症状が出たときにかかりつけにすぐ受診できるよう、休診日を避けて午前中に。 *初めてのものは1品追加で。2種のお初があると何か症状が出たときに、どちらが原因なのかわからなくなります。 *できる限り新鮮なものを、よく加熱して。添加物がないよう、可能な範囲で手作りを。 *初めてはひとさじから。食材によっては、だし程度から。たとえば、初めて「ひらめ」を与える場合、まずひらめそのもでなく、ひらめを入れて作ったスープの汁のみをひとさじ与え、徐々に増量して、その後ひらめそのものを摂取させてみる。 *食べさせたあと1〜2日は様子の変化がないか、よく様子を観察し、変化があればすぐに主治医に報告する。 *お初のあとの2回目挑戦は、2日様子を見て、3日目以降に与える。摂取後48時間は症状が遅れて出ることがあるため。 B同じ食材でも、ハードルの低いものから挑戦 たとえば同じ卵の料理でも、いきなり卵おじややプリンに挑戦というのは、リスクが高くなります。 卵関係でトラブルが大きいものは、そのほか茶碗蒸し、フレンチトーストなどです。 卵のアレルギーはそのほとんどが卵白アレルギーなので、固ゆでの卵黄は、多くの場合安全に摂取できます。 水から茹でて沸騰してからさらに15分茹で、すぐに卵白/卵黄を分けて、その卵黄をごくわずか耳かき1杯くらいから、おかゆなどに混ぜて食べさせてみましょう。その後徐々に摂取量を増やしてみてください。 次いで、ごくわずかよく加熱された状態で含まれる2次製品、たとえばビスケットをひとかけら食べさせてみる(小麦/乳アレルギーなしの場合)など、徐々にハードルの低いものから挑戦してみましょう。 同じ卵を含んだお菓子でも、卵ボーロは小麦粉ではなくトウモロコシでんぷんを使っているため、ビスケットなどと比べてアレルギーが出やすくなります。ボーロはもう少しあとでの挑戦が安全です。 人は食べなければ生きてゆけません。 ことに成長期の小さなお子さんはなおさらです。 いたずらに心配をしすぎる必要はありませんが、起こさないで済むアレルギートラブルは避けたいもの。 ポイントを押さえて、必要な配慮は充分してあげましょう。 |
バックナンバー