このコーナーではお母さまの子育てに役立つ情報を、主に「病気」「食事」「生活」の分野から
ご紹介していきたいと思います。
お母さまの広場
小1プロブレムを考える | |
2011-07-30 更新 | |
小学校入学直後の1年生が、授業中に騒いだり歩き回ったりして学校生活になじめない「小1プロブレム」が問題になっています。 そのような子どもたちに多く見られる行動は、授業中に勝手に歩き回る、外に出て行く、友達にちょっかいを出すなどですが、いずれも担任の指示通り行動しようとする意欲がないことが根底にあると思われます。 このようになると、クラスが崩壊することはもちろんですが、本人は叱られてばかり。 学校で過ごす時間に楽しみを見いだせない本人が何より1番かわいそうです。 学校で楽しく充実した生活を送れるようにしてあげるためにも、幼児期にちょっとした工夫をしてあげましょう。 さて、人間の感情には「個人的感情」と「社会的感情」があります。 前者は、喜怒哀楽、恐れ、好き嫌いなど。 後者は、恥、罪悪感、嫉妬、優越感、自尊心、権威への意識、畏敬の念、など、人との関わりのなかで芽生える感情です。 この社会的感情の育ちが、集団内での子どもの行動に大きな影響を及ぼします。 子どもは6〜7歳になると他の子ができることを自分ができないと恥ずかしく思ったり、約束を守らないことに罪の意識を感じたりするようになります。 「学校に行かないことは恥ずかしい」「宿題を忘れるとかっこわるい」などなど。 学校に行くことも宿題をやることも、当然楽しいことばかりではなく、おっくうなのが普通の感情ですが、そこに恥ずかしい、かっこわるいという意識が芽生えて、「がんばる」ようになります。 ここに社会的感情の育ちが見い出せるわけです。 権威への意識の育ちもまた学校生活をスムーズに進めるためにはある程度必要です。 「先生の言うことは聞かなければならない」という原則がゆらげば、実際問題、学校生活は立ち行きません。 周囲の大人へのあこがれや畏敬の念の育ちも、意欲的な日常生活のために有意義です。 「ぼくの担任の先生はすごい」「うちのパパみたいに強くなるんだ!」とうきうきするような感情が、日々の生活で触発されれば言うことなしです。 それでは、そのような社会的感情を育むために、私たち大人が子どもたちにしてあげられることは何でしょう。 それはズバリ「大きくなったね」「すごいね」というようなプラスの評価を示す言葉がけによる関わりです。 子どもはまだ先を予測する力が未熟で、それゆえ大胆なようで臆病です。 そのように不安を抱える子どもを安心させ、誇りを感じさせることばが「大きくなったね」「すごいね」などの言葉がけです。 1歳後半の子どもでもすでに、これらの言葉がけをとても喜ぶ心が育っています。 人間の感情は双方向ですから、子ども自身が満足感を得られる言葉がけによってプラスの評価をしてくれる大人に対して、尊敬の念を持ち、自分にとって特別な存在であると権威を認め、またほめられるようにがんばろうと思えるようになります。 「ほめられるようなことは、ぜんぜんしてくれません」と嘆きのお言葉が聞こえてくるようですが、そのような時には、ぜひお子さんに簡単な用事を頼んでみてください。 そしてそのあとで「ありがとう。上手にできたね、やっぱりお兄ちゃんはすごいね、大きくなったんだね。」とお礼を伝えましょう。 これらの日々の小さな積み重ねが、子ども自身に「大きくなった」という意識を育み、その発展として恥や罪の意識を芽生えさせて行きます。 子どもも含め人間には他人から認められたいという基本的感情(社会的承認欲求)があります。 「大きくなったね」という言葉がけは、この基本的感情を満たすだけでなく、周りの大人からの「期待しているよ!」というメッセージであり、ひいては「大切に思っているよ、ここに居て良いんだよ」という愛情表現でもあります。 こうして「自分の居場所」を見つけた子どもたちの心には、自分に期待してくれている大人に対して、精一杯良い子になろうとがんばる元気が満ちてくるのです。 |
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