このコーナーではお母さまの子育てに役立つ情報を、主に「病気」「食事」「生活」の分野から
ご紹介していきたいと思います。
お母さまの広場
すこやかな年末年始のための5つのアドバイス | |
2009-12-27 更新 | |
1)銀杏中毒: 新潟のお正月の定番の郷土料理に「のっぺ」があります。これには多くの場合銀杏が入ります。コロコロして子供が喜ぶので、おとなが自分の銀杏も子供に分け与えている情景はよく見かけられます。しかしこの銀杏、子供にとってけっこう危険で、嘔吐・痙攣などの銀杏中毒症状をきたします。「銀杏(ぎんなん)は歳の数より食べさせてはいけない.」という言い伝えをご存じですか。これはとても医学的に理にかなっており、先人の知恵には脱帽です。原因物質は銀杏に含まれる4-o-メチルピリドキシン(MPN)です。この物質がビタミンB6ととても良く似た構造をしているため、脳内でビタミンB6に成りすましたように振る舞い、その結果ビタミンB6を働けなくしてしまいます(競合的阻害)。これによりビタミンB6欠乏と同じ状態を引き起こします。そのため神経の興奮を静める作用を持つGABAを作ることができなくなり、神経が興奮し痙攣するというわけです。7個の銀杏でお子さんが痙攣をおこした報告もあります。お子さんにはできるだけ銀杏を食べさせないようにしましょう。 2)そばアレルギー: 大晦日といえば年越しそば。このソバも人によっては激しいアレルギーを起こします。卵や牛乳などに比較してこのアレルギーのかたの頻度は低いのですが、症状は重いことが多く、アナフィラキシーショックをおこして、場合によっては命の危機に瀕する可能性があります。小さいお子さんでは小麦にアレルギーがなければ、年越しうどんの方が安全だと思います。 3)イクラアレルギー: 新潟のお雑煮に必ずといっていいほど入っている「イクラ」。生寿司の人気メニューでもありますね。このイクラにアレルギーを持っているお子さんはかなり見られます。多くの場合、生で食べることが多く、激しいじんま疹や呼吸困難をきたすこともあります。イクラ・筋子の汁のついたご飯や、わずかに汁が付いた箸も危険です。以前から食べていて何ともないお子さんでは問題ありませんが、初めてのお子さんは止めておきましょう。 4)たばこ誤飲: お正月に親戚が集まって宴会という場面では、おじさん達がたばこを吸うことも多いですね。また人が集まってバタバタしているときは、ついついお子さんへの目配りが行き届きにくくなります。子供は好奇心の塊。灰皿に乗った吸い殻を食べてしまうという事故が絶えません。さらに危険なのが、水を入れた空き缶を灰皿代わりに使っているときです。この水にはたばこのニコチンがたっぷりしみ出しており、この水にしみ出したニコチンは吸収がとても速いので、いっそう注意が必要です。 5)離着陸時の授乳: 遠くへ帰省される際には、飛行機の利用も多いと思います。離着陸のときに耳が詰まった感じになったり聞こえにくくなったりしたことはありませんか。これは気圧の変化で中耳と外の気圧に差が生じるために引き起こされます。離陸の時は中耳腔の気圧が高くなり鼓膜が外に向かって膨らみ、着陸の時はその反対になります。鼓膜の内外で気圧差があると鼓膜の動きが妨げられ、聞こえがわるくなったり、塞がったような感じがするのです。航空機中耳炎、滲出性中耳炎に至ることもあります。のどと中耳をつなぐ耳管という管は、この気圧差を解消するために働きます。ガムをかんだりしてつばを飲み込む動作を繰り返し行うことが耳管の通りを良くしてくれます。また赤ちゃんでは哺乳の動作が同じ働きをします。離着陸のときは赤ちゃんに哺乳をしてあげましょう。 年末年始は医療機関もお休みのことが多く、またお出かけ先では医療事情も違います。 以上を参考にされて、お健やかな年末年始をお過ごし下さい。 良いお年を! |
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