このコーナーではお母さまの子育てに役立つ情報を、主に「病気」「食事」「生活」の分野から
ご紹介していきたいと思います。
お母さまの広場
お子さまをVPDから守りましょう! | |
2011-01-02 更新 | |
新年おめでとうございます! 今年もお子さまの健やかな毎日のために精一杯がんばります。 よろしくお願いいたします。 VPDとはVaccine Preventable Diseasesの略で、「ワクチンで防げる病気」のことです。 世界中には、とてもたくさんの感染症が存在します。 その多くはワクチンがまだ開発されていず、有効な予防手段がありませんが、先人の多大な努力のおかげで、いくつかの病気ではワクチンによる予防が可能になっています。これがVPDです。 「ワクチンさえ接種していれば・・・」という残念な思いを、小児科医であればほとんど必ず経験します。 かかると治療が難しかったり、命にかかわる合併症がおきる可能性のある病気だからこそ、ワクチンが作られたのです。 日本は、医療先進国であるはずなのに、欧米などの国にくらべて、大変多くの子どもたちがVPDにかかって残念な結果になっています。 その原因は、 @接種率が低いこと A欧米では実施されていても日本では許可されていないワクチンがあること です。 Aは、やむを得ませんから、@については、おうちのかたが正しい知識を持ってお子さんにきちんと適切な時期にワクチンを受けさせるようにしてあげてください。 今年から自治体によっては、ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、子宮頸癌ワクチンの無料化も始まり、大変喜ばしいことです。 ぜひ可能な限り積極的にワクチンを接種し、VPDからお子さんを守りましょう。 現在日本で通常実施されているワクチン @公費のもの;三種混合(ジフテリア・百日咳・破傷風)、麻しん、風しん、ポリオ、BCG、日本脳炎、 A自治体によっては公費のもの;ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、子宮頸癌ワクチン B自費のもの;みずぼうそう(水痘)、おたふくかぜ、インフルエンザ 予防接種は、その病気にかかる前に受けるもの。 かかってしまってからでは遅いのです。 病気はいつかかるかわかりません。 公費のものは、接種可能月齢になったらすぐに接種できるよう早めに申し込んでおきましょう。 また効率よくお子さんのワクチンスケジュールを組むために、複数のワクチンの同時接種もおすすめです。 お申し込み時にご相談下さい。 <ちょっと詳しく・・・> @三種混合;百日咳はときどき流行します。無呼吸発作や脳症などの重症化も見られます。三種混合は3か月になったらすぐ受けましょう。 ABCG;接種できる期間が満6か月未満と短いのでお忘れなく。 B麻疹風疹混合;麻疹は死亡することもある極めて重い病気です。麻疹風疹混合ワクチンは1才になったらすぐに1回目を受けて下さい。2回目は年長組です。(移行措置で中1、高3) C日本脳炎;新しいワクチンで実施中です。3歳〜7才半未満、9歳〜13歳未満の年齢制限があります。可能な年齢のお子さんは必ず受けましょう。 Dヒブワクチン;新潟市では今年から無料です。欧米では、20年近く前から接種が始まりました。その後ヒブによる深刻な病気は100分の1程度に激減しました。ヒブ(Hib)による髄膜炎・敗血症・喉頭蓋炎は非常に重篤です。できるかぎり接種しましょう。 E肺炎球菌ワクチン;新潟市では今年から無料です。欧米では10年近く前から接種が始まりました。その後この菌による細菌性髄膜炎、敗血症はほとんど見られなくなりました。 小児期の重篤な細菌感染症の多くがこの2つの菌(ヒブ/肺炎球菌)により引き起こされています。 ヒブ、肺炎球菌ワクチンの両方を確実に接種することで、小児期の重篤な細菌感染症のかなりの部分を予防することができます。 Fおたふくかぜ;無菌性髄膜炎がかなりの頻度で発生します。またおたふくかぜ難聴も従来言われていたよりもかなり頻度が高いことがわかってきました。この難聴は治療法がありません。自費ワクチンですがぜひ接種されることをおすすめします。 G水痘;感染力も強く、かかると1週間ほど欠席になります。40℃に及ぶ高熱が続いたり、脳炎をおこしたりすることもあります。また、まれに水痘に引き続いて劇症型溶連菌感染症を発症することが報告されています。この場合死亡率も高く、死亡を免れても病変部を切断しなければならなくなることが多いといわれています。 こどもの森では、日曜日のワクチン接種可能人数をできるだけ増やし、なるべく多くのお子さんに接種して差し上げることができるよう努めます。 かわいいお子さんの大切な命を守るワクチン、あとで後悔しないように、早めにきちんと受けさせてあげてください。 |
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