このコーナーではお母さまの子育てに役立つ情報を、主に「病気」「食事」「生活」の分野から
ご紹介していきたいと思います。
お母さまの広場
喘息とおくすり:咳もぜーぜーもないのに薬を続けるの? | |
2007-12-14 更新 | |
気管支喘息(以下喘息と略します)は、空気の通り道である気道が狭くなって「ゼーゼー、ヒューヒュー」を繰り返す病気です。ゼーゼー、ヒューヒューの状態を「発作」と呼びます。発作の引き金としては、カゼをひいた、ダニ、ほこりなどを吸い込んだ、ネコ、ウサギなどのペットに触った、あるいは近づいた、花火、線香、タバコ、稲ワラ焼きの煙を吸い込んだなどいろいろありますが、時期的には今頃の秋が最も発作が起きやすい季節です。急激な気温の変化、立て続けの台風の到来など、気象条件の変化がデリケートな気道を刺激してしまうんですね。 すべての病気は「早期発見、早期治療」がまず大切ですが、喘息の治療においてはそれと同じくらい大切なことがあります。それは「発作の予防」です。私が医師になりたての頃、20年くらい昔のことですが、そのころは喘息の治療といえばイコール発作の治療のことでした。重い発作で入院して退院、元気に通学できたのもつかの間、また発作で入退院を繰り返す、そんなお子さんが病棟にはたくさんいらっしゃったものでした。 しかし、その後医学も進歩し、喘息の治療に対する基本方針も変化しました。「発作がおさまったあと、次の発作を起こさないための予防の治療もとっても大切」といわれるようになってきたのです。喘息の発作は気道の炎症です。「炎症」というのはいわば「ただれ」です。アレルゲンやウイルス感染で刺激を受けた気道の粘膜は、「赤くただれたヒリヒリ状態」になっています。たとえば皮膚で考えても、普通の皮膚にお醤油が付いてもちっともしみないでしょうが、すりむけたところにお醤油が付けばすごくしみますね。粘膜は言ってみれば「体の中の皮」ですから、発作で炎症を起こした(ただれた)気道は、ただれてないときでは何ともないようなほんのわずかの刺激(カゼをひいた、アレルゲンを吸い込んだ・・・)でもすぐにまた反応して収縮し、発作を起こしてしまうのです。この状態を「気道過敏性が亢進した状態」といいます。「発作直後はわずかな刺激でも発作を起こしてしまう」この悪循環が回りだしてしまうのです。この悪循環から脱出できるようにすることが、発作後、症状がない時も続ける予防の治療の目的なのです。予防の内服、吸入を行って「発作なし期間」を延長していくことが、最良の予防、さらには喘息からの卒業への一番の近道なのです。 お忙しい毎日をお過ごしのことと思いますが、予防薬が大切な理由をよくご理解いただき、根気強く治療を続けてくださいね。応援しています。 |
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