このコーナーではお母さまの子育てに役立つ情報を、主に「病気」「食事」「生活」の分野から
ご紹介していきたいと思います。
お母さまの広場
「朝調子が悪い症候群」を予防しよう | |
2010-08-29 更新 | |
毎年夏休みが明けた9月に入って少しすると、朝だるくて起きられない、午前中体調が悪いと訴えて受診するお子さんが多く見られます。 この「朝調子が悪い症候群」のお子さんのかなりの割合が、「起立性調節障害」(OD)です。 別名「フクロウ病」ともいわれるこの病気、10歳以降の成長期に症状が出ることが多く、中学生の1割前後のお子さんは、この傾向を持つと言われます。 患者さんは、朝起きの悪さ、たちくらみ、頭痛、腹痛、全身倦怠などの身体不調を訴えて来院されます。 ODのお子さんの多くは寝起きが悪く、朝が苦手。 午前中は調子が悪くて一日中ごろごろして、夕方になって元気になり夜には寝付けなくなるという悪循環に陥りやすく、いつの間にか夜型人間になってしまい、その結果不登校傾向になってしまうこともあります。 この病気は、決して精神的なものや、まして怠け癖ではなく、自律神経の不調による体の病気です。 人間は急に立ち上がったりしたときに、重力の働きで血液が足などの下半身にたまってしまい、脳に血液不足が起きてしまいます。 それでは立ちくらみを起こしてしまうので、下半身の血管が収縮して、血液が下がり過ぎないように調節します。 この調節を司るのが自律神経ですが、思春期などの成長の著しい時期には自律神経の働きがアンバランスとなり、調節しきれず発症しやすくなります。 自律神経の不調を起こす原因として、夜更かしや朝寝坊という不規則な生活リズムが挙げられます。 自律神経には、「交感神経」と「副交感神経」の2つがあります。 人間の体は、夜寝ているときには、副交感神経が優位になり休養モードになっています。 心拍数を下げたり、血管を拡張させたりして体をリラックスさせます。 反対に、朝起きると、交感神経が優位になり戦闘モードに切り替わります。 心拍数を上げ、血管を収縮させて、体を適度な緊張状態にします。 ?交感神経と副交感神経の切り替えを速やかに行うことによって、私たちは朝起きてすぐに活動することができるのです。 しかし、夜更かしや朝寝坊という不規則な生活を続けていると、自律神経の切り替えがうまくできなくなります。 朝起きても、まだ副交感神経優位が続き、元気が出ず、さまざまな症状が引き起こされます。 夜近くになるとやっと戦闘モードに切り替わり元気復活、夜は寝付けないというわけです。 夏休みなど長い休暇で朝寝坊モードが身について学校がある毎日の生活のリズムからずれてしまっているときは黄色信号。 加えて残暑厳しく気温が高いと血管が拡張しているため、さらに血液は下半身に集まりやすくなり、さらにリスクは高まります。 ODの予防は、第一に早起きリズムを作ること。? できるだけ、毎朝起床時間を決めて、朝日を浴びて、体内時計のリズムを整えておきます。 人間の体は朝起きてから、14時間から16時間後に眠りの準備を始めるとされています。 よく眠るために運動も大切。 しっかり運動→食欲もりもり→寝付き良好→朝早起き?と、良い循環を作りましょう。 また、小さい頃から野外で遊んだり、スポーツをして平衡感覚が鍛えられているお子さんはODが少ないといわれます。 幼いころから室内遊びばかりでなく外遊びをしっかりさせてあげましょう。 生活リズムを整えて、元気に2学期をスタートしましょう。 |
バックナンバー