このコーナーではお母さまの子育てに役立つ情報を、主に「病気」「食事」「生活」の分野から
ご紹介していきたいと思います。
お母さまの広場
妊婦さんは、心穏やかな日々を! | |
2013-10-19 更新 | |
妊娠中に大きなストレスを経験することが、おなかの赤ちゃんに悪い影響を与えるということは、昔から「胎教に悪い」という表現で、何となく気づかれていたことではありますが、最近のこれを立証する論文がありました。 妊婦さんのストレスが胎児の行動に影響を与えるこことは、エコーでの観察でも明らかなのですが、妊娠中のストレスが、出生後のこどもの発達にも影響を与えるという内容でした。 方法は以下の通りです。 @妊娠後期、出産後それぞれの時期に、お母さんの不安/抑うつの程度を、アンケート方式で調べるます。 A生まれたお子さんが生後4ヶ月の時点で、聞き慣れない騒音を聞かせるなど、赤ちゃんに慣れない刺激を与えたときの反応をビデオテープで記録し、決められたシステムで解析します。泣きが激しい、手足のばたつきが強いなどの反応が多いほど、「接し慣れない刺激への否定的行動が強い」と評価します。この否定的行動が強いほど、その後の小児期において、引っ込み思案や抑うつされた気分が強くなるとされています。 結果は、妊娠後期でストレスが強いと、赤ちゃんは4ヶ月時点で、否定的行動を強くとるというものでした。他方、出産後のストレスと4ヶ月時点での否定的行動は関係が認められませんでした。産後のストレスで気持ちが落ち込んでいれば、赤ちゃんへの明るい働きかけもしにくくなるので、4ヶ月の赤ちゃんの性格形成にも悪影響がありそうと予想されるのですが、結果はそうでなく、むしろ妊娠後期のお母さんの心理状態が関係するというものだったのです。 この論文の著者は、その原因について、妊娠後期のお母さんの血液中のストレスホルモン(コルチゾール)が、胎児の脳のホルモン(脳下垂体ホルモン)に影響を及ぼし、これが胎児の脳の発達に影響するのではと結論づけています。 妊娠初期の妊婦さんの飲んだ薬や、かかった病気のウイルス(風疹などが代表)が、胎児に悪影響を及ぼすことは、以前から広く知られています。さらに、妊娠後期のお母さんの心理状態が、生まれた赤ちゃんのその後の精神発達に影響するという結論は、これまで漠然と胎教として広く言われてきたことを実証したことになります。 妊婦さんと赤ちゃんの血液は、胎盤を介して、多くの成分が行き来しています。お母さんのイライラは、お母さんのストレスホルモン上昇を招き、血液を介して赤ちゃんに影響します。妊婦さんは、それでなくてもとても心理的にデリケートになっています。ぜひ周りのご家族、職場の同僚の方は、妊婦さんのお気持ちを配慮して接してあげてほしいものです。 現在妊娠中のママさん、日々の生活でいろいろとイライラすることもあると思いますが、そのようなときは、ぐっと深呼吸して呼吸を整え、気持ちを落ち着かせるようにしてみましょう。生まれてくる元気な赤ちゃんの笑顔を思い浮かべながら・・・。 |
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