このコーナーではお母さまの子育てに役立つ情報を、主に「病気」「食事」「生活」の分野から
ご紹介していきたいと思います。
お母さまの広場
今日からできるPM2.5を減らす方法 | |
2013-03-30 更新 | |
春といえば鼻炎をはじめとするアレルギー疾患の季節、特に今年は症状の強い方が多いのみならず、これまで発症していなかったお子さんも発症しているようすが目立ちます。この原因として、花粉だけでなく、中国からの大気汚染物質PM2.5の関与も問題になってます。今回は身近なPM2.5対策、とくに受動喫煙の危険性について考えます。 PM2.5とは、空気に含まれる直径が千分の2.5ミリ未満の微小粒子のことで、化石燃料を燃やした時に発生します。工場、家庭、交通などのほか、タバコが燃えた時にもたくさん発生します。この粒子は大変小さいので、肺のいちばん奥の肺胞までかんたんに入り込み、さまざまな病気を引き起こします。 アメリカなどでの調査によると、PM2.5が10μg/m3増えると、心臓や肺の病気の死亡率が9%、肺ガン死亡率が14%増えるとされています。当然大気汚染はすべての住民に影響しますから、PM2.5 がわずか10μg/m3増えるだけで、その地域の住民の死亡率が6%も増えてしまいます。 このように危険な粒子であるため、アメリカなどでは厳しい既成が設けられています。アメリカの基準では汚染の程度は6段階に分けられています。(良好〜許容範囲〜弱者に危険〜危険〜大いに危険〜緊急事態) 現在の北京は、緊急事態レベルで、ゆゆしき事態であることは当然ですが、日本の職場内の規制の限界は上から3番目の危険のレベルです。ですから、完全に禁煙していない職場や喫煙者のいる家庭で生活することは、中国から飛んでくる汚染物質を心配する以上に、もっともっと危険なことなのです。 では、日常生活場面で、どんな場所がそれぞれのレベルに相当するのでしょうか。 @緊急事態:喫煙室、不完全分煙の居酒屋の禁煙席、完全分煙していないファストフード店 A大いに危険:パチンコ店 B危険:喫茶店 C弱者に危険:完全分煙のファストフード店の禁煙席 E良好:全面禁煙のコーヒー店 家庭内でも同じことがいえます。喫煙者のいる家庭のPM2.5は、いない家庭より30μg/m3高いことがわかっています。世界保健機関のデータによれば、10μg/m3高くなると、死亡率が6%上昇するとされており、それを当てはめると30μg/m3上昇すれば死亡率は18%は上昇するということになります。また、家庭での受動喫煙で非喫煙者の全死亡率が14〜75%増えることが明らかにされているので、同濃度PM2.5では、大気汚染によるものよりタバコによるものの悪影響がより大きいと考えられます。 実際、職場の受動喫煙による非喫煙者の死亡は、少なく見積もっても年間3600人以上といわれています。これは肺がんと心筋梗塞だけでの統計ですから、実際はもっともっと影響は大きいとみなければなりません。 家庭ではどうでしょう。小さなお子さんは、汚染物質の影響がより強く出ると思われますから、想像しただけでも恐ろしいですね。 新潟県の公表している大気中のPM2.5の値は、3月下旬では、15〜20μg/m3です。はやく中国の大気汚染が改善されて、危険な粒子が飛んで来ないようになってほしいことはもちろんですが、まず身近な空気の汚れをすっきりと減らせるように、社会全体が禁煙の方向に進んでほしいと思います。衣服についたタバコのにおいさえも受動喫煙をもたらすといわれています。罪のない小さなお子さんに、こんなに恐ろしい空気を吸わせることは、ぜひとも避ける必要があります。小さなお子さんのいるご家庭では、分煙ではなく、家族全員の完全禁煙を、さっそく実行しましょう。また、高濃度のPM2.5が予想される場所へは決してお子さんを連れて行かないように心がけましょう。 |
バックナンバー