このコーナーではお母さまの子育てに役立つ情報を、主に「病気」「食事」「生活」の分野から
ご紹介していきたいと思います。
お母さまの広場
メディア漬けは、健やかな親子関係を蝕みます! | |
2013-11-30 更新 | |
ビデオ、DVD、パソコン、ケータイ、スマホと、私たちの周りには電子メディアがあふれています。統計によれば、わが国の子どもたちは世界に類を見ないメディア漬け生活を送っているといわれています。さらに子どもたちだけでなく、今子育て真っ最中の親御さんたちにとっても、これらのメディアは生活必需品といえるでしょう。 しかし、これらの機器の子どもたちへ安全性の保証は全くありません。ふつう子どもの薬、食品、衣服、玩具などの日用品は、大人のそれよりも、より厳重な安全基準の検証がなされるわけですが、メディア機器については、安全性の検証が全くなされないまま、子どもたちに対して売りまくられているのが現状です。脳や神経の発達途上にある子どもたちは、大規模な人体実験にさらされているようなもの、その被害は、けっして取り返しがつきません。何気ないこの機器の恐ろしい影響、今回は親子の愛着形成について考えます。 愛着とは、赤ちゃんが特定の人に対して「この人は自分の欲求や感情や意思を理解してくれる、この人といれば安心だ」という認識をもち、その人が大好きになることで、特定の人に対する特別な情愛です。この愛着形成は、0歳の赤ちゃんが必ずクリアーしなければならない課題です。 この愛着形成の第一段階は、ママやパパが子どもと目を合わせ、直接言葉で語りかけ、肌を触れ合うことで始まります。しかし現代の子育ての現場では、この大切な第一段階がメディアによって蝕まれています。たとえば、 @授乳中に、テレビ、DVDを見たり、メールを打って、赤ちゃんとのアイコンタクト(見つめ合うこと)を無視する。 A2歳までの小さな子どもに、特定のテレビ、ビデオ、DVDを見せて、ママ、パパは別のことをしている。いわゆる「電子ベビーシッター」。 B深夜遅くまでママ、パパのテレビDVD視聴に子どもを付き合わせる。 Cママ、パパ自身がパソコン、ケータイのメールやゲームに夢中で、お子さんがふれあいを求めてきても、面倒がる。 などなど、日常生活ではありえる場面ですね。 しかしこれらのささいな行動が、赤ちゃんが必ずクリアーしなければならない課題の克服を阻害しているというのです。恐ろしいことです。とても危険な人体実験にわが子をさらすことは、絶対にいやですよね。もし心当たりがおありなら、今すぐ止めましょう。 また、愛着形成は、親子の相互作用でもあります。赤ちゃんと目を見つめ合ってにっこり微笑み返していることで、ママの心にもお子さんへの絆がしっかりと作られるということです。 子どもはぐずり泣くもの、こちらの思った通りには動かない生き物です。そんなときでも、ママ、パパご自身がご自分の感情をコントロールして、忍耐強く接する力が、愛着形成によって徐々に培われていくのです。 お子さんとママ、パパが、よい影響を与え合って作られる親子の絆、この絆作りの大切な機会を、メディア機器が奪っているとも言えるでしょう。 では、このようにメディアに囲まれて幼少期を過ごした子どもたちの心は、どのように成長してゆくのでしょう。ユニセフの統計によれば、日本の子どもたちは「自分は孤独である」「自分は厄介者である」「自分は場違いな存在である」と感じている割合が、諸外国に比べ群を抜いて高くなっています。 温かな言葉がけや、生の肌のふれあいの代わりに、冷たいメディアとの接触で時間を過ごしてきた子どもたちには、取り返しのつかない大きな心の闇が巣食っているのです。乳幼児期の親への愛着形成が不十分なまま人生のスタートを切った子どもたち、家庭でも社会でも、「自分は大切にされていないんだ!」と、無意識に思ってしまう寂しい心は、もう取り返しがつきません。 これらの電子機器は、今や生活必需品であることは確かですが、子どもの手の届く場所や時間帯での使用は必要最小限にし、最低限のツールとして扱うようにしたいものです。お子さんの心の成長に及ぼす電子メディアの恐ろしさに、早く気づいてほしいと切に思います。 |
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