このコーナーではお母さまの子育てに役立つ情報を、主に「病気」「食事」「生活」の分野から
ご紹介していきたいと思います。
お母さまの広場
インフルエンザ脳炎・脳症をできるだけ防ぎましょう | |
2008-09-13 更新 | |
お子さんのインフルエンザの合併症でもっとも恐ろしいものはインフルエンザ脳炎・脳症です。特に香港A型の流行した年に多いといわれています。つい先ほどまでピンピンしていたお子さんが、急に意識がなくなり、長く続くけいれん、麻痺、嘔吐、精神症状(興奮など)をきたします。インフルエンザ発症から脳炎・脳症発症までの期間は平均1.4日です。ウイルスが全身の血液にまわり(ウイルス血症)、血管の内皮細胞を障害して血液の凝固障害を引き起こし、脳やその他の臓器の血栓や血管の破綻を来すことなどが原因の一つと考えられています。完全に回復できるのは約40%、残り30%が重い後遺症を残し、30%が死亡します。 脳炎脳症を発症した人の中にワクチンをきちんと接種完了してあった人は全国的に調べてもほとんどいません。脳炎・脳症を発症した例にワクチンの接種例がほとんどなかったことが、脳炎・脳症の予防効果を持つことの確実な証明にはなりませんが、A香港型インフルエンザに伴うウイルス血症が発症に関与しているとすれば、血液中の抗体を高めるワクチン接種に予防効果があると推測するのが妥当と思われます。また発症まで1.4日と短時間であることから、タミフル、リレンザ、シンメトレルなどの抗インフルエンザ薬は有熱期間の短縮には役立っても、脳炎・脳症の発症や進展の防止には役立たないといえます。 インフルエンザ脳炎・脳症は主に子どもの病気です。この恐ろしい病気に確実に有効な治療法がない今日、唯一ともいえる予防可能手段であるワクチン接種はとても大切であると思います。脳炎脳症を発症してから後悔しないためにも、可能な限り積極的にワクチンをお受けになることをおすすめします。 |
バックナンバー