このコーナーではお母さまの子育てに役立つ情報を、主に「病気」「食事」「生活」の分野から
ご紹介していきたいと思います。
お母さまの広場
貧血予防って、とってもだいじ! | |
2012-11-10 更新 | |
今回は、小さなお子さんでの貧血の予防/治療がとっても大切であるということについてお伝えします。 貧血は、血液の中のヘモグロビンというタンパク質が少ない状態のことです。 ヘモグロビンは肺から取り入れた酸素を体の隅々の細胞まで配る役割を果たしています。 貧血の場合は、このヘモグロビンが不足するので、その結果、からだの細胞が酸素不足の状態になります。 おとなや年長児では、動悸や運動能力の低下で気づかれることが多いのですが、乳幼児では、機嫌が悪い、いらだちやすい、食欲がなくなる、好き嫌いが強くなる、体重が増えない、元気に遊ばない、寒がる、歩くとすぐに疲れる、お風呂に入れても赤くならないなどの症状から気づかれます。 また、貧血の程度が軽い場合や、少しずつ貧血が進んだ場合は、これらの症状がはっきりせず、検査でたまたま発見されるということもあります。 また、乳幼児期に特有な貧血予防の重要性があります。 脳の発達における鉄分の役割です。 乳幼児期は脳の成長の著しい時期です。 脳の成長スピードはとても速く、3歳児の脳重量は既に大人の脳重量の約8割に達します。 こうした脳の成長を支えているのが鉄分です。 鉄分が不足すると、脳の神経細胞ネットワークの接合部であるシナプスの成長が阻害され、脳の情報伝達がうまく働かなくなります。 2歳以下の子どもの場合、鉄分が不足した状態が3カ月以上続くと、認知能力や運動能力、社会性、情緒の発達などに支障が出るといわれています。 ヘモグロビンが正常で明らかな貧血がみられなくても、鉄の欠乏があるとこのような障害が出る可能性が指摘されています。 放置した場合は、少なくとも5歳までその影響が残ることが分かっています。 これらのことから、乳幼児期の貧血や鉄欠乏の予防がいかに大切かご理解頂けたと思います。 ところで乳幼児期は体の成長が著しく鉄の必要量が最も多い時期。 生まれてすぐは、生まれるときにママからプレゼントされた鉄分がそこそこあるので、それで何とかやっていけるのですが、生後半年を過ぎて離乳食が始まるころから、多くのお子さんで鉄が不足し始めます。 ミルクにはかなり鉄分が添加してあるので、ミルクからの鉄の供給もかなり期待できますが、母乳メインのお子さんでは特に注意が必要です。 (もちろん完全母乳のいい点はたくさんあるので、このことのために混合にする必要は全くありません。) 注意すべき食材の1つに牛乳があります。 1才までに牛乳を与えると、腸管から微量の血が出て、貧血が起こりやすくなるといわれています。 また牛乳には鉄分がほとんど含まれていないので、飲んだ割には鉄分の摂取量が少なく、しかもおなかが一杯になって、普通の食事をあまり摂らなくなるの で貧血になりやすいのです。(牛乳貧血) 6ヵ月から牛乳を与えられた赤ちゃんは、母乳やミルクの乳児に比べて1歳の時点で明らかに鉄欠乏が2倍も見られたという報告があります。 酪農国では早期から牛乳を与えているため、鉄欠乏症が問題になっているようです。 お誕生までは、牛乳は飲み物として与えることは絶対に控え、料理にわずか使う程度とします。 可能であれば、離乳食では、「濃いめに溶いたフォローアップ」を牛乳代わりに使うことがおすすめです。 1歳以降も、すぐに牛乳に変えるのではなく、2歳くらいまでフォローアップをコップで飲ませてあげましょう。 離乳食では意識的に鉄を多く含んだ食材を使いましょう。 まず、鉄分が多いのはレバーです。 鶏レバーは加熱しても比較的柔らかく小さなお子さんでも食べやすいようです。 レバーは料理が苦手というママも多いと思いますので、レバーについてはベビーフードをうまく活用するのもひとつ。 ほかに鉄分の多い食品としては、1食分あたりにすると、いわし、かき、かつお、干しえび、ひじき、青のり、大豆、きなこ、納豆、 小松菜、ほうれん草、切干大根などです。 ところで、食品中の鉄分にはヘム鉄と非ヘム鉄の2種類があります。 ヘム鉄は肉や魚などの動物性食品に、非ヘム鉄は植物性食品に多く含まれています。 ヘム鉄は非ヘム鉄よりも吸収率が高いため、非ヘム鉄に比べて効率よく体内に吸収されます。 ヘム鉄が豊富な食品としては、レバーや赤身の肉、しじみなどがあります。 ですから、効率よく貧血を予防するためには、上記の食材の中でも動物性の食品を特に積極的に活用しましょう。 また、鉄分の吸収を助けるには、ビタミンCやたんぱく質を同時に摂ることも大切です。 ビタミンCは、吸収されにくい非ヘム鉄をヘム鉄に変えることで腸壁からの吸収を高めます。 植物性の鉄を摂取する際には、新鮮な野菜や果物といっしょに摂ることで効果をアップできます。 動物性タンパク質は、動物性食品に含まれるヘム鉄が有効に利用されるのを助けたり、植物性食品に含まれる非ヘム鉄が消化管内で溶解するのを助けたりと、鉄の吸収を促進する働きがあります。 このようにいろいろな食材を組み合わせることで相乗作用が期待できます。 バランスのよいお食事はとっても大切なのです。 毎日のことだけに離乳食の献立作りはけっこう大変です。 でも難しく考えなくって大丈夫。 毎食メインのおかずは必ず肉か魚から一品作り、メインが鉄の少ない白身魚などの場合は、ベビーフードのレバーペーストを少し使う、季節の青菜は必ず少しでも毎食摂らせるようにする(細かく刻んでおじやに入れてもOK)、食後にフレッシュフルーツを摂らせてビタミンCを補給するなど、ちょっとした工夫で少しずつでも鉄を摂らせるように心がけてあげましょう。 からだと脳の健やかな成長のために、積極的な鉄分摂取を! |
バックナンバー