このコーナーではお母さまの子育てに役立つ情報を、主に「病気」「食事」「生活」の分野から
ご紹介していきたいと思います。
お母さまの広場
ペットと暮らす 〜小児科医からのアドバイス〜 | |
2014-07-21 更新 | |
最近は、ペットを飼育されるご家庭もとても増えています。 生き物と暮らすことで、こどもたちは多くのことを学びます。 ゲームあそびなど無機的なあそびが多くなりがちな現代のこどもたちにとって、「いのち」と暮らす経験は、かけがえのないものです。 しかし、小児科医の立場から、ちょっと気をつけていただきたいことを少し述べさせていただきます。 @犬 ★犬回虫;生後半年くらいまでの子犬に寄生します。糞の中に排泄された虫卵を、こどもが口に入れて感染します。腸の中で成長しますが、肝臓、脳などに迷い込むと、そこで結節を作ったりして、大変です。 およそ1年以上の成犬では、この寄生虫はいなくなりますので、子犬を飼う前に、獣医さんのところで検査してもらって、必要があればお薬で治療していただきましょう。 ★フィラリア;蚊が媒介して犬の間で流行します。通常は人は感染しても免疫で撃退され、発症しないことが多いのですが、中には人間に感染して肺や皮膚で結節を作ってしまい、ガンと間違えるような所見になることがあります。 蚊が流行する前に、犬に予防薬を飲ませることで予防できます。 A猫 ★トキソプラズマ;子猫の糞の中にいる卵が感染源になります。生の豚肉にも含まれます。抗体を持っていない妊婦さんが感染すると、胎盤を通じて胎児に感染して、脳や目に障害を引き起こす先天性トキソプラズマ症になります。妊婦検診で抗体陰性の妊婦さんは、特に気をつけて下さい。 ★猫引っ掻き病;病原菌を保有する猫にひっかかれた後、10日くらいして、引っ掻かれた付近のリンパ節が腫れ、発熱、全身倦怠感、関節痛、吐き気などの症状が出現します。日本の猫の9〜15%が菌を保有し、特に1〜3歳の若い猫の保有率が高いと追われています。この病気の病原菌はノミが媒介します。また、ダニがこの菌を媒介する場合があることも知られていますので、最大の予防策はネコにノミやダニが付かないように心がけることです。ノミとダニを予防する薬品は動物病院で入手できます。愛猫をノミとダニから守ってあげることが、病気の予防になります。 以上に述べた寄生虫のほか、動物を室内で飼うことによるダニやハウスダストの増加にも注意する必要があります。 アレルギー傾向のお子さんでは、特に注意が必要です。 そのような場合は、飼い始める前に、お子さんの主治医とよく相談してからにしましょう。 一般的には、外飼いの犬が一番安全です。 犬、猫の寿命はおよそ15年くらいと言われています。 自分より弱い命を守り育む体験、また命には限りがあるのだという体験は、お子さんにとっても、大きな学びです。 ペットを飼う決断は、くれぐれも最後まで看取ってあげる覚悟を、こどもたちも含めご家族みんなで新たにしてからにして下さい。 楽しく実りあるペットとの暮らしを! |
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