このコーナーではお母さまの子育てに役立つ情報を、主に「病気」「食事」「生活」の分野から
ご紹介していきたいと思います。
お母さまの広場
子宮頸ガンワクチンをご存じですか? | |
2010-02-07 更新 | |
子宮の入り口のガンである子宮頸ガンは、20〜30歳台の女性に多く発症するガンの1つで、我が国で年間15000人の女性が罹患し、3500人が死亡しています。 若い女性に多く発症するため、この病気により子供達のお母さんが奪われることと、子宮摘出手術により「母親になること」を失うことから、欧米では「マザーキラー」と呼ばれています。 少し前にノーベル賞を受賞したzur Hausen博士は、このガンがヒトパピローマウイルス(HPV)によりひきおこされることを発見しました。 このウイルスは性行為によって感染するウイルスですが、特別な人だけが感染するというものではなく、性交経験のある女性のほとんどが少なくとも一生に一度は感染するといわれています。 感染してもその9割は一時的な感染で、すぐに子宮から排除されます。 ところが一部の人では持続感染が起こり最終的に1000人に1〜2人がガンを発症するといわれています。 発ガン性HPVには15種類ほどありますが、その中でも頻度が高いのが16型と18型で、この2つのウイルスに対する感染予防の抗体を作るワクチンがこのほど開発された頸ガンワクチンです。 頸ガンの発症は20歳代以降に多いのですが、発ガン性HPVに感染してから発症までに数年から10数年かかるとされ、発ガン性HPVに感染する可能性の高くなる10歳代後半になる前にワクチンを接種することで、頸ガンの発症をより効果的に予防できます。 接種後どれくらいの間予防に有効な抗体価を維持できるかについては、統計モデルから推定して、接種後ほぼ20年間と考えられています。 ですから12歳頃に接種すると、もっとも発症率の高い20〜30歳代を十分予防できると考えられています。(しかし、今後の統計から追加接種が必要になることも考えられますので、今後得られる情報にご留意下さい。) 諸外国では10〜13歳頃に接種している国が多いようです。 ただし16型と18型以外のHPVによる頸ガンは予防できませんし、すでに発ガンHPVに感染している人においてウイルスを排除したり、ガンの進行を遅らせたりすることはできません。 ワクチン接種で100%安全というわけではないので、20歳を過ぎたら定期的な検診は必要です。 頸ガンワクチンは10年、20年先を見据えた、これまでとちょっと違った目的のワクチンですが、ガンの予防という一生ものの大きなプレゼントになるワクチンだと思います。 10歳を過ぎたお嬢さまのいるご家庭ではぜひご検討下さい。 もちろんママも接種できます。 当院では4月以降に開始する予定です。 |
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